孤独に打ち勝つ
Overcoming Loneliness
March 20, 2025
「より幸せな人生の秘訣」シリーズ
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課題
この世界には孤独が蔓延しています。世界保健機関(WHO)は、社会的孤立と孤独がますます蔓延していると警告しており、多くの研究が、これらが心身の健康と生活の質に深刻な影響を与えることを示しています。[1] 人は自分一人だけで人生を経験するようにはできていません。私たちは神によって関係的存在として創造され、他の人々とともに生き、愛し、人生を分かち合うように造られたのです。けれども、周りの人に囲まれているだけでは、必ずしも孤独感や孤立感を和らげることはできません。
一人であることと孤独であることは同じではないと言われています。一人でいても孤独を感じない人もいれば、人混みの中にいても孤独を感じる人もます。孤独感とは、他の人々から切り離され、孤立を深く感じることによってもたらされる、感情や心の状態のことです。
孤独の原因が何であれ、クリスチャンである私たちにとって永続的な解決策は、キリストとの交わりにあります。それは、私たちの永遠の救いのために御子をお与えになり、私たちが御子とともに天国に住めるようにしてくださったほどに、私たちを愛してくださっている、神との個人的な関係から始まるのです。そして、「自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ」(マタイ22:37–39)という神の第二の偉大な戒めに従うとき、それは外へと広がっていきます。私たちが主の愛を与え、分かち合おうとするとき、主は「ご自身の栄光の富の中から、あなたがたのいっさいの必要を … 満たして下さる」(ピリピ4:19)と約束されているのです。
孤独とその救済法
誰しもが時折孤独に感じるものです。世界一孤独な人というのは、絶えず人に囲まれていながらも、誰も「本当の自分」をわかってくれないと感じている人ではないでしょうか。興味のあることを語り合える誰かがほしい、自分の悩みを親身になって聞いてくれる誰かがほしいのに、と。
たとえ、伴侶や親友に恵まれ、愛し愛されているとしても、彼らでさえ、自分の全てを知り、完全に理解してくれるわけではありません。誰しも、ひとり涙することがあるものです。自分の頭や心の中、魂の奥深くまで入り込める人はいません。
人はどうして、誰かに理解されたいと切望するのでしょうか。どうして、自分の喜びや成功や悲しみや敗北感を他と分かち合うことを渇望するのでしょう。人の魂を創造した神が、その傑作である人類の創造の過程で間違いを犯したからでしょうか。神は、人が持つ一つ一つの飢えに対して満たすものを与えられました。身体の飢えには食べ物を、頭脳の飢えには知識を、心の飢えには愛を、というように。
私たちが抱く欠乏感、完全には満たされない思い、魂の飢えは、人の魂が神を必要としている、という証しなのです。神は、人が他からの同情を得られない時には神を求める、と知っていました。自分を理解してもらえないという孤独感ゆえに、人は神に近づこうとすると知っていたのです。
神は、ご自分のために人を創造されました。神も私たちからの愛を求めています。神ご自身が私たちのあらゆる思いや渇望を満たしてくださらない限り、私たちは真に満足することはありません。神の言葉には、神は私たちを満ちたらせる嗣業(受くべき分)であるとあります。(詩篇107:9; 詩篇73:26) 神だけが私たちの心の渇望を満たすことができるのです。
あなたを創造された方だけが、あなたの人生の隅々までをも満たすことができます。ですから、孤独に感じる時には、イエスの声に耳を傾けてください。イエスはあなたに、「わたしのもとに来なさい」(マタイ11:28)と呼びかけているのです。神の臨在は、孤独な魂を満たしてくれます。日々、神と共に歩む人は、孤独な道を歩むことは決してないでしょう。—バージニア・ブラント・バーグ
孤独の痛みを克服する
夫と別れてからの半年間、私は毎日毎日、孤独の毒性に直面していました。他に誰もいない部屋、在宅勤務、一人で過ごす寒い夜が、心身にこたえたのです。… 孤独という現実は、お腹への一撃のように私を打ちのめしました。一人きりというのは、ずっと続く、私の「ニュー・ノーマル」になったのです。私は突然、かつてなく耐え難いほどの孤独を感じました。まるで別の惑星に置き去りにされ、そこで生き延びる方法を考えなければならなくなったかのように。たった一人で、逃げ場もありません。
聖書には、同じようなつらい感情や現実を味わった人々の例が数多く記されています。実際、すべての詩篇は、ダビデ王でさえしばしば孤独を感じたことを物語っています。しかし、その孤独こそが、彼を神に寄り頼ませる原動力となったのです。
詩篇25:16(英語NLT訳)で、ダビデ王はこう言いました。「御顔を向けて、わたしをあわれんでください。わたしは孤独で、ひどく苦しんでいます。」 続けて、17節と18節にはこうあります。「かかえている問題は、ますますひどくなるばかりです。ああ、わたしをそのすべてから救い出してください。わたしの痛みを感じ取り、わたしの悩みをご覧ください。」 この箇所全体に、神の助けを求める嘆願が綴られています。ダビデは、神や他の人々から抑圧され、落胆させられ、悩まされ、見放され、見捨てられたように感じ、… つらい孤独にさいなまれていたのです。
しかし、ダビデの祈りは、神に対して苛立ちを抱き続けるのではなく、途中で方向性を変えます。「わたしはあなたに寄り頼んでいます。どうか、誠実と潔白とが、わたしを守ってくれるように。わたしはあなたを待ち望んでいます。」(詩篇25:20–21) あらゆる問題にもかかわらず、ダビデ王は最も深い暗闇の中で主から離れるのではなく、主に寄り頼みました。どんなに孤独を感じていても、ダビデは神とつながりたいと願い、たとえ誰もいなくても、神がそこにいてくださるという希望を持ち続けたのです。
孤独は、神との関係を妨げるのではなく、むしろ成長させるきっかけになります。孤独は、私たちが神との個人的な関係を持つために造られたことを思い出させる神の方法です。神は私たちの心の中に、神にしか満たすことのできない深い切望を置かれたのです。
もしかしたら、あなたは、別居や離婚、あるいは配偶者との死別で孤独を感じているのかもしれません。部屋が空っぽで、食卓の椅子が空いており、友を失ったのかもしれません。孤独の根源が何であれ、私たちはいつだって神が共にいてくださると信じることができます。私たちは、神に寄り頼みつつ、神が私たちの人生にぴったりの人々を連れてこられ、神が私たちの魂の渇きを満たしてくださるように、人とのつながりの必要性を満たしてくださるように、と祈り続けることができるのです。…
まず神とつながりなさい。そうすれば、あとはいずれうまくいきます。神は孤独を取り去りはされないかもしれませんが、私たちがダビデのように神に望みを置くとき、神の近くにいることを感じられるようにしてくださるでしょう。—トレイシー・マイルズ [2]
友になりなさい
ある金曜日の午後、ハイスクールから家まで歩いて帰る途中、半ブロック先に1年生の時の転校生がいました。名前はカイルでした。どうやら教科書を全部持ち運んでいるように見えました。週末に教科書を全部持って帰るのは本物のガリ勉だけだ、と私は思いました。私の週末の予定はパーティーやフットボールの試合などで、かなりいっぱいでした。
まもなく、数人の男子がカイルに駆け寄って、腕から教科書を叩き落とし、彼をつまずかせました。カイルは転んで地面に倒れ、メガネは飛んでいって少し離れた草むらに落ちました。カイルは体を起こすと、私のほうを見ました。半ブロック離れていても、彼が怒り、苛立ち、屈辱を感じているのがわかりました。
気の毒に思った私は、駆け足で彼に近づきました。その時、彼は四つん這いになって眼鏡を探していました。目に浮かんだ涙を隠そうとしていたので、私は気づかないふりをしました。彼に眼鏡を渡し、こう言いました。「困った奴らだな。もっとまともになれよ!」
するとカイルは私を見て、満面の笑みを浮かべ、こう言ったのです。「ありがとう!」 その笑顔には心からの感謝が表れていました。
それから4年の間、カイルと私は親友になりました。4年生(最上級学年)になると、私たちは大学進学を考え始めました。別々の学校に行くことを決めましたが、いつまでも友達でいることは分かっていました。距離は決して問題にはならないでしょう。
カイルはクラスの卒業生総代になりました。卒業式の日、その時が来ると、彼は壇上に上がり、咳払いをして言いました。「卒業式とは、つらい時期を乗り越えさせてくれた人たちに感謝する時です。両親、先生、兄弟姉妹、そして、人によってはコーチも … でも、何より友達です。私はここで、真の友情とは、どんな人にも贈ることのできる最高の贈り物だということを伝えたいと思います。これから本当にあった話をしようと思います。」
それから私は、私たちが出会った日の話をするカイルを、信じられない思いで見ていました。彼は週末に自殺するつもりで、ロッカーを片付けていたのだと話しました。母親が後で片付けなくてもいいようにです。それで、金曜の午後に荷物を全部家に運んでいたのです。カイルは私をまっすぐ見て、微笑みました。「でも感謝することに、私は助かりました。私がとんでもないことをするところを、友が救ってくれたのです。」
このハンサムで人気者の少年が、自分の一番弱かった時のことを話すのを聞いて、聴衆は息を呑みました。彼の両親が、同じような感謝の笑みを浮かべて、私の方を見ています。その時初めて、私は自分のしたことにどれだけの意味があったのか、気づいたのでした。—作者不明
孤独を克服するための鍵
第一に、神はあなたの人生に常に臨在する神であることを再確認しなさい。そして、いつでも好きなときに神の交わりを楽しむことができるのです。神の臨在の慰めは、信者にとって現実のものです。
第二に、思いを同じくする友を見つけること。私たちは神を愛し、神とともに歩みますが、神は私たちが人間同士の交わりを愛し、必要とするように創造されました。
最後に、私たちには、この地上にいる間になすべき神の仕事があります。忙しくしなさい。… あなたの創造主であり救い主である方に栄光を与えるためにする、何かを見つけなさい。今がその時です!—リッチ・ビターマン牧師 [3]
考えてみよう...
孤独の原因が何であれ、クリスチャンにとっての治療法はいつも同じで、それはキリストとの慰めに満ちた交わりです。… キリストは、兄弟よりも親密な友であり(箴言18:24)、友のために命を捨てる方であり(ヨハネ15:13–15)、私たちを決して離れたり見捨てたりせず、世の終わりまで共にいる(マタイ28:20)と約束してくださいました。Gotquestions.org [4]
誰もがいつかは孤独を経験するものです。それは人生という方程式の共通項です。それはまた、誰もが好んで抱く感情ではありません。ですから私たちは自然な反応として、孤独から逃げたり、避けたり、生活を数多くの気晴らしで満たすことで否定したりするのです。神は、それよりもいい方法をお持ちです。… 孤独は、私たちを人間関係へと駆り立て、愛する心を広げてくれる、神の贈り物なのです。孤独がなければ、私たちは結婚することも、友人関係を築くことも、親密さにつきものの数々の問題を耐え忍ぶこともないでしょう。—シャナ・シュッテ [5]
あなたの近くにも、孤独な人がいるはずです。そして、もしその人に手を差し伸べるなら、あなたはその人の命をつなげるかもしれません。微笑み、話しかけ、その人の一日を少し明るくするだけで、生きる理由を与えることができるかもしれません。嫌がられるからとか、必要とされていないと思うからといって、ためらってはいけません。彼らにはそれが必要です。そして多くの場合、彼らは永遠に感謝するでしょう。—クロエ・ウエスト
聖書の言葉は...
主のいつくしみは絶えることがなく、そのあわれみは尽きることがない。これは朝ごとに新しく、あなたの真実は大きい。わが魂は言う、「主はわたしの受くべき分である、それゆえ、わたしは彼を待ち望む」と。—哀歌 3:22–24
この大祭司は、わたしたちの弱さを思いやることのできないようなかたではない。… だから、わたしたちは、あわれみを受け、また、恵みにあずかって時機を得た助けを受けるために、はばかることなく恵みの御座に近づこうではないか。—ヘブル4:15–16
神は、イエス・キリストによって、わたしたちをご自身の家族に迎え入れることを、前もって定められました。それは神が望まれたことであり、神に大きな喜びをもたらしました。—エペソ1:5 英語NLT訳
2025年3月アンカーに掲載 朗読:ジョン・ローレンス
1 世界保健機関「社会的孤立と孤独」(リンク先は英語) https://www.who.int/teams/social-determinants-of-health/demographic-change-and-healthy-ageing/social-isolation-and-loneliness
2 Tracie Miles, “Overcoming the Pain of Loneliness,” Proverbs 31, April 21, 2021, https://proverbs31.org/read/devotions/full-post/2021/04/21/overcoming-the-pain-of-loneliness
3 Rich Bitterman, “God’s Cure for Loneliness,” Medium, August 3, 2021, https://medium.com/@richbitterman/gods-cure-for-loneliness-265982ba9c35
4 Got Questions, “What does the Bible say about loneliness?”July 26, 2024, https://www.gotquestions.org/loneliness.html
5 Shana Schutte, “The Gift of Loneliness,” Focus on the Family, February 1, 2007, https://www.focusonthefamily.com/get-help/the-gift-of-loneliness