誠実さとクリスチャン的倫理観(パート2)
Integrity and Christian Ethics—Part 2
March 30, 2017
「ロードマップ」シリーズより
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このテーマに関してパート1では、倫理や誠実さの実例や、人に善悪を教えてくれる内なる方位磁石、そして黄金律についてお話ししました。道徳的な基盤のない倫理観は、真北のない方位磁石を持っているようなもので、何の役にも立ちません。皆さんは個人的な確信や倫理観という「真北」を必要としているのであり、道徳面で正しい方位を示してくれる磁石を持ちたいなら、それは神の言葉から来ます。
ジョン・C・マクスウェルは『Ethics 101』 の中で、彼の見解によると、人が黄金律に則って誠実に生きることを妨げる5つの要因があると警告しています。そのメッセージを完全に理解するには、著者の解説全体を読んだ方がいいでしょうが、大まかなコンセプトは以下の通りです。
人はその社会的地位や経済状況に関係なく道徳的に振る舞うことができますが、幾つかの要因により、そのように振る舞えない人が大勢います。
第一の要因はプレッシャーであり、とりわけ、手っ取り早く成功を収めなければ、というプレッシャーです。このプレッシャーに立ち向かうには、ペースを落として、自分の行動をじっくり検討してみることです。このような内省の手始めとして、まず自分に問いかけてみましょう。あなたは衝動的に、あるいは恐れやプライドに駆り立てられて行動する人ですか? あなたの行動はあなたの倫理規範を傷つけるでしょうか? また、家族の写真や自分の信仰の象徴など、道徳的に振る舞うべき理由を思い起こさせてくれる何かを飾っておくのも効果的です。
快楽は道徳的行動を脅かす第二の要素です。快楽は万人にとって誘惑ですが、快楽に基づいた決断は脆弱な決断です。快楽の誘惑に対して用いるべき主要な武器とは、自己鍛錬です。責務を果たせるよう、自分を鍛錬しましょう。
三番目の脅威とは力です。何をすべきかではなく、どれだけの力が得られるのかや、何を達成できるか、あるいは罰を受けずに何をやってのけられるか、といったことばかり考えているなら、脱線してしまうでしょう。
力と密接に関わっているのが、プライドです。自分が重要人物であると感じるなら、自分の行動に目を光らせて、すべきことをしているだろうかと反省する代わりに、自分や自分のしていることが、どれだけ素晴らしいかといったことに、思いを向けてしまうでしょう。
最後に、優先順序がないと、人は非道徳的に振る舞いかねません。自分の優先順序をはっきりと決めていないなら、つまずくことになるでしょう。より重要な事柄に重きを置いて行動すべき時に、さして重要ではない事柄を優先してしまうのです。このような障害を避けるために、日々自分の優先順序を思い起こし、それに照らして自分の行動を判断しましょう。—ジョン・C・マクスウェル [1]
ここにあげた黄金律の5つの「敵」や、それらが私たちの人生にどう影響しているかについて考える時間を割くことは、私たち全員にとって有益です。
誠実でいる時、私たちは自分の価値観に確信を抱いており、それらを他の人々に伝えることができます。自分の価値観に基づいて行動し、確信に基づいて生き、自分が決断したことについて責任を負うのです。
私たちクリスチャンの倫理観は、神の言葉や、神がご自分の子どもたちのために定められた行動規範を中心としたものであるべきです。神の言葉の真理に従い、神の愛を動機として行動し、誠実なクリスチャンの見本になろうと努めることが、私たちが決断を下す際の試金石となるのです。
より明確で確固とした倫理観を持ち、もっと誠実な人間になりたいと願うなら、神の言葉を学習し、神の教えを深く思い、心にささやく神の細く小さな声に耳を傾けてご覧なさい。そして自分に語りかけて下さるよう、神に求めるのです。
そのような霊的ステップ以外にも、誠実さを増し加えてくれる、以下のように実際的で役立つステップがあります。
- 自分のミッション・ステートメント(課題表明文書)を書く
- 約束は慎重に交わし、常にそれを守るよう努める。約束は控えめにして結果的に相手の期待以上のことをする方が、その逆よりも良い。
- 誇張しないで正直に話す。
- 口を開く前にまず考え、それから言葉を選んで慎重に話す。
- 良き模範を示してくれる人々に倣う。
- 自分の決断が、常に自分の価値観を反映しているよう確かめる。
- 自分がクリスチャンとして守るべき倫理規範を定める。[2]
以下は実際に人々が書いた倫理規範の数例です。
- 私は情報の公開が法律上求められていることが明らかな状況下において、秘密を守ることを約束しません。
- 私は他の人の無知に乗じて故意に利得を貪ることはしません。
- 私は他の人の非倫理的振る舞いを誘発するような要因を作りません。
- 私はいじめっ子が誰かをいじめているなら、やめさせます。たとえ相手を知らなくても。
- 私は酔っ払い運転をしません。たとえほろ酔い程度であっても、誰かに乗せてもらうか、タクシーを拾います。[3]
自分のミッション・ステートメントにおいて良き倫理規範を表すポイントとして、他にも以下のようなものがあります。
- 私は人生において主を第一に置き、何よりも主を喜ばせようと努めます。たとえそれが容易ではなく、不都合を生じさせたとしても。
- 私は真理を証しし、他の人を救いへと導き、彼らにイエスのことを教えるために最善を尽くします。
- 私は伴侶や子供たちに、イエスの無条件の愛とゆるしを示す手本となります。たとえ苛立ったり、腹を立てたり、批判的したりする誘惑に駆られた時にも。
- 私は神の御仕事と宣教活動を支えるために、自分の時間とお金を与えます。
- 私は神の御霊の宮である自分の体を酷使しません。
- 私はゴシップをしたり、他人の悪口を言いません。
- 私は自分の仕事や慈善活動やプロジェクトを推し進めるにあたり、他の人を欺くことはしません。
最近は、「優しい男はビリになる」とか、「優しい女は出世できない」といった考え方が横行していますが、そんなことはありません。もしその「優しい男」や「優しい女」というのが、良い人生を送っており、親切で純粋で、確固たる信条の持ち主であり、他の人のために時間や奉仕や物品を与え、必要とあれば自分の損になっても犠牲を払い、神と家族を最優先するといった形で、その信条を貫く人たちという意味であれば。たとえこの世で偉くなれなくても、彼らは神の考え方では、そして神が私たちの前に置かれた競争においては、一番なのですから。
神の教えにかなった主義や確信に従って生きると決めたことにより、自分が何かを失っているか、つらい思いをしているかのように思われる時もあるかもしれませんが、そんな時にこそ天国のビジョンを思い出すべきです。イエスと他の人を第一に置くことで、何かを失うことは決してなく、地上の人生で払うどんな犠牲も、十二分に報われるでしょう。天国ばかりではなく、今ここ地上においても。イエスはこう言われました。
自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのため、また福音のために、自分の命を失う者は、それを救うであろう。 人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。 また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。—マルコ8:35–37
私たちは皆、後悔のない人生を送る機会に恵まれています! 「正しいことをするのに、時を選ぶ必要などありません!」—マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
あなたはクリスチャン的倫理観に根ざした、誠実な人生を送ろうと努めていますか? 自分が何者であるかを定義するのはあなた自身です。あなたの行動や選択が、人々があなたを「本物」と認めるか否かの決め手となるのです。
あなたは安易な抜け道を選ぶのではなく、正しいことをしようと決めるでしょうか? 自分の誠実さを損なわぬよう、犠牲を払う覚悟がどれだけありますか?
人々は、私たちクリスチャンに多くを期待します。イエスならどう行動し、どう生きるかを示す手本となるよう、懸命に努力することは、私たちの果たすべき義務です。ですから、私たちの誠実さの基準は、聖書の基準や、人と接し共に働く際に、イエスが私たちに持って欲しいと望まれるであろう基準に、沿っていなければなりません。そこから迷い出て、非倫理的に振る舞うなら、それによって人々の信仰を傷つけるばかりか、誰かが主を離れ去る要因となってしまう恐れすらあります。その一方で、あなたが確固としたクリスチャン的倫理観を持ち、その誠実さが岩のように揺るぎないなら、人々はあなたに信頼を寄せ、あなたの宣教活動や仕事は、より実り豊かなものになり、あなたはイエスの愛と真理を示す手本となることができます。私たちクリスチャンの人生において、成功を収めるとはそういうことです。
「ロードマップ」は若い大人向けにTFIによって制作されたビデオ・シリーズ。初版は2010年。2017年3月に改訂の上、アンカーに掲載。朗読:サイモン・ピーターソン。
1 John C. Maxwell, Ethics 101 (Center Street, 2005).
2 Robert L. Turknett and Carolyn N. Turknett, Decent People, Decent Company—How to Lead with Character at Work and in Life (Mountain View, CA: Davies-Black, 2005).
3 Ronald A. Howard and Clinton D. Korver, Ethics for the Real World: Creating a Personal Code to Guide Decisions in Work and Life (Boston, MA: Harvard Business Press, 2008).