6月 25, 2024

自然の中の神の足跡

God’s Footprint in Nature
August 28, 2023

マリア・フォンテーン

オーディオ所要時間：14:11
オーディオ・ダウンロード（英語） (12.9MB)

どんなテーマについて書く際にも、私が直面する難題の1つは、可能な限り読者である多くの皆さんに理解してもらえるような形で、要点を伝えることです。生活の中で自然が果たす重要な役割に焦点を当てたこの記事も、例外ではありません。私たちの中には自然に囲まれて、その益を大いに享受する機会が頻繁にある人たちがおり、そのような人たちにはこの記事が、祝福として主から賜ったこの貴重な資産を楽しむ時間を、もっとスケジュールの中に組み入れることの大切さを、思い起こさせてくれるかもしれません。けれども中には、素晴らしい戸外に出て行くという選択肢があまりない人もいるかもしれないのです。その場合は、たとえそうしたくても、神の造られた自然の中で望むほど時間を費やすことができないことで、少々不満を抱き、不幸せに感じるかもしれません。

自然の中に出て行くことが、自分にとってそのような「かなわぬ夢」の一つのように思われる人は、どうか絶望しないでください。それでも神の素晴らしい愛や世話を彷彿とさせるものとして、そのような益について読むことは、大いに価値があります。失望させるような何かから、愛と恵みの神の驚異を深く思い巡らす理由へと、ものの捉え方を変えることができるのです。

もしできれば、緑豊かな森や、野花が咲き乱れる絵のように美しい原っぱを歩いたり、砂浜を散歩したりすると、プレッシャーやストレスや、否定的な考えや心配を一掃する助けになります。裏庭のポーチやテラスや木陰でくつろぐだけでも、感銘深い恩恵の数々を得ることができます。優しいそよ風が、一日の緊迫感を和らげてくれるからです。

自然には、心を落ち着かせることのできる、目に見えない何かがあります。私たちが時間を割いてそうしてもらうならば。それは私たちの視力から、健康全般や精神状態に至るまで、あらゆるものにプラスの影響を与えることができます。

するとこう思うかもしれません。「良さそうに聞こえるけれど、そのようなことができるのは神だけだ。」ええ、確かにそうかもしれません。それがおできになるのは神だけですが、神はしばしばご自分が細心の注意を払ってお造りになった被造物を、癒し回復させる過程の一環として用いられるのです。

立ち止まって、創造主が日の出や日の入りの鮮やかな色で、空を彩られるのをご覧なさい。畏敬の念を抱いて見つめているうちに、ストレスやぼろぼろになった神経や精神的な倦怠感が、薄れ始めることもあります。けれども残念なことに、テンポが速くストレスに満ちた人工的な世界にいる私たちの大勢が、自分たちを取り囲んでいる神の被造物の驚異を、他の幾つかのものと同様、最も容易に見落としてしまうようです。

人生のプレッシャーは、私たちを執拗に押し流す、流れの速い川のようなものになり得ます。プレッシャーやストレスの流れ、何かを見逃してしまうのではないかという恐れに押し流されないでいるには、努力を要します。浮かんでいるだけで徐々に力が消耗されてしまうこともあり、やがてはその勢いから解放される必要があります。さもないとその下に引っぱり込まれてしまうでしょう。川の土手のような、力を回復させることのできる、穏やかで平和な場所にたどり着くために、戦い続けるという意識的な努力をしなければなりません。神の被造物の中で時間を過ごすことは、私たちがストレスで一杯の生活から意識的に解放されるための、主要な方法の一つです。

もちろん私たちは、天国が美しいものや音楽や、賛美や色彩や、心と思いの平安や永遠の命といった、多くの良いもので満ちていることを知っていますが、神はその大いなる愛の内に、私たちにこの現世において天国の味見をさせて下さるのです。私たちは、天が神の栄光を表し、大空が御手のわざを示しているのを見るために（詩篇19:1）、神が私たちにお与えになった感覚を用いることを忘れがちです。

私はこれまでずっと、神の驚異と現実を如実に言い表している、聖書の鮮明な描写が大好きでした。また、自然界の美しさという観点から神を描写している、数多くの新旧の歌を歌いつつ主を賛美してきました。そして今まで以上にそうしたいと望んでいます。

まだ子どもだった頃、私が好んでしていた2つのこととは、もう使われていない古い墓地にある背の高い木の下で、草に寝転がることと、森の中の小川に沿って、1～2人の友人と一緒に歩くことでした。私は目に映る数々の美しいものや、聞こえてくる無数の音が大好きでした。芳香に包み込まれて、うっとりしたものです。そこには平安や充足感があり、木々の葉をかき分けて進んだり、木の幹に寄りかかって休んだりしている時、神が一緒にいて下さり、自分の問題がはるか遠くの物事のように感じられたものです。

年を取るにつれて、子ども時代や十代の頃に感じていた、神の腕の中に抱かれるというシンプルな喜びは、数々の新しい宝物に取って代わりました。神の被造物の中によく見られる神の驚異が、自分たちの五感で測れる範囲よりも、はるかに深いものになったことに気づいたのです。今では、神の被造物という、この素晴らしい賜物について瞑想する時、聖霊がそれらを用いて、数多くの霊的な原則を説明し、またそれを日々の生活にどう適用するかを、私が理解できるようにして下さいます。

最も単純な生命体から人類という究極の被造物に至るまで、神のご計画が生命のタペストリーのあらゆるより糸にどのように織り交ぜられているかを見ると、私たちへの神の気遣いを改めて確信します。それは平安や美や、強さや癒しをもたらし、この世の悪いものさえも、最終的にはより大いなる益へと変えて下さる神の愛への私の信仰を、より一層強めてくれます。

自然界に見られる非常に広範囲にわたる多様性は、神が私たちを創造された様にも似ています。誰であれ、その人に合うものが、何かしらあるのです。人生に対する見方はすべて、その人が何に興味を引かれるかに表われます。進んで学びたいという気持ちがあるなら、神についてもう少し知るよう誰かの意欲をかき立ててくれる何かが、常にあるのです。

神は、その被造物も含めて多くの方法で、その栄光や威厳や、愛や驚異を絶え間なく思い起こさせて下さいます。私はジョン・デンバーの有名な曲^[1] の冒頭にある「あなたは私の感覚を満たす」という言葉でイエスへの祈りを始めるのが大好きです。私がこの歌詞についてコメントし、祈りの初めにそれをよく用いるのだと話すのを聞いた仕事仲間の一人が、ジョン・デンバーの妻が語ったある言葉について教えてくれました。彼女はこう言ったのだそうです。「もともとそれはラブソングで、［ジョンから］私に捧げられたものでしたが、それが彼にとっては幾分祈りのようになったのです。」^[2]

この歌の第1節は、神の創造の栄光に向けられた美しい称賛です。それはこう告げています。

あなたは私の感覚を満たして下さいます
森で過ごす一夜のように
春の山々のように
雨の中の散歩のように
砂漠の嵐のように
まどろむ青い海のように
あなたは私の感覚を満たして下さいます
今また私を満たして下さい

本当にぴったりな表現ですね。神はしばしば私たちのために、その被造物を通してまさにそうして下さっていますから。神はご自分がそばにおられるのだと思い起こさせるもので、私たちの感覚を満たして下さいます。

イエスも、これと似たようなことを語って下さいました。

人々は、被造物とのつながりを通して恩恵を受ける。あなたは太陽の光や雲や星や月から、霊感を引き出す。自然の中にいる時には、周りに息づく動植物からの、多種多様な益にあずかる。自然が与えてくれる光景や匂いや新鮮な空気に浸って、気分が高揚するのだ。周りの色彩までもが感情に影響を与え、身体機能にプラスの影響を与えることがある。

それどころか、自然界の美しい何かを思い出すだけでも、体に良い反応を引き起こす。自然は、単に衣食住のためだけにそこにあるのではない。それはわたしの力と栄光を表しており、人の気分を引き上げ、神経を落ち着かせ、ストレスを解消し、人生の悪いものにより良いバランスをもたらすことができる。それらはあなたの幸福にとって非常に重要なのだ。ちょうど、胎内にある羊水やすべてのものが、赤ん坊が生きるために不可欠であるのと同様に。

人類は、この世に数多くの人工的な環境を生み出したが、それらは人に必要なものをすべて提供することはできず、むしろ人の体や思考に、さらなる負担をかける。これは人の感情や健康に害を及ぼすことがあり、その結果、病気や不安や鬱や怒りや、精神疾患などを引き起こし得る。人は十分な繁栄を得るためにわたしとのつながりを必要とし、そのつながりの主要な源の一つは、自然である。自然から切り離されると、人は孤立し、孤独になり、落ち込む傾向がある。これはなぜだろうか。それは、あなたはわたしの他の被造物から孤立して生きるようには造られていないからだ。

（マリア：）私たちは神の被造物の中にいる時、生活にプラスの影響を感じることができます。自然は人類に授けられた祝福の一部であり、神は私たちの益や幸福のためにそれを与えられています。これまで多くの研究によって、ほとんどか、あるいは完全に人工的な環境の中にいると、人の体や思考や精神に有害な影響が及び得ることがわかっています。

以下は、自然が私たちの幸福に及ぼし得る良い影響に関する研究からの要点をまとめたものです。

自然に囲まれていると、感情面でより気分良く感じるだけでなく、酸素レベルが増加し、有益なホルモンが活性化され、血圧や心拍数や筋肉の緊張が低下し、有害なストレスホルモンの分泌が妨げられるため、身体的な健康にとっても有益である。^[3]
自然の中にいることは、短期記憶と作業記憶を改善するのに役立つ。^[4] （「作業記憶」とは、脳が迅速にアクセスできる記憶を指し、それは数時間から1～2日保持される。）
ジムではなく公園で運動するなら、幸福感の増大など精神的な健康面での益が得られうる。
草木の生い茂る場所で1日に20分間歩くなら、医薬によるのと同程度かそれ以上に、ADHD患者の子どもたちの集中力を向上させる助けになることがわかっている。
より自然の多い場所で生活する人々は、調査の際に経済面での差異を考慮に入れたとしてもなお、全般的により健康である。^[5]
自然は私たちが痛みに対処する助けになりうる。これは、胆嚢手術を受けた患者たちについての、今や古典的とされるある研究で実証されている。患者の半数は木々が見える病室に、別の半数は普通の壁しか見えない病室に寝かされた。木が見える患者は、概して痛みが少なく、看護師らが見たところ悪い副作用も少なく、また平均的な入院期間もより短かった。^[6]
森林地帯で2泊3日を過ごすなら、体内の免疫細胞の数が大幅に増加し、逆にストレスホルモンが減少することが判明した。また樹木から放出されるフィトンチッドという揮発性化学物質は、免疫系を高める役割を果たしうる。^[7]
自然の中で過ごした後に、PTSD（心的外傷後ストレス障害）の症状が減少しうることがわかっている。^[8]
自然の中で過ごす子どもたちは、その創造性を伸ばす傾向がある。
自然は鎮静効果をもたらし、集中力を増してくれる。
炎症が進行すると、自己免疫疾患、炎症性腸疾患、うつ病、癌を含む幅広い病気を発症する要因ともなる。自然の中で時間を過ごすことは、その抑制に役立つ一方法となりうる。
ある研究では、森林で過ごした学生は、都会で過ごした学生よりも炎症のレベルが低かった。別の研究では、旅行で森林地帯に1週間送り出された高齢患者は、炎症の減少徴候を示した。またその森への旅行が、患者の高血圧レベルにプラスの影響を与えたという兆候もあった。^[9]
戸外にいると、視力の保護にも役立つことがある。例えば、人の目の健康にとって最大の危険の一つは、ノートパソコンやデスクトップ、タブレット、スマートフォンの前で長時間過ごすことで発生する、コンピュータービジョン症候群（CVS）と呼ばれるものに起因する。これはもっと戸外で時間を過ごし、より遠くのものに目の焦点を合わせることによって緩和できる。また、戸外にいる時は人工の光がない自然な場所にいるので、近視の防止にも役立つようである。^[10]
参加者280人を対象として日本で実施された、ある集中的な調査では、森林で散歩することによって、参加者のストレスホルモン濃度が15%以上減少するばかりか、平均脈拍数がほぼ4%、血圧が2%あまり低下することがわかった。^[11] 『環境衛生の視点』誌に掲載された最近の研究においても、同様の関連性が認められている。もっと自然の中で時間を過ごすことにより、死亡率が12％減少したという。最大の改善点として、それは癌や肺疾患や腎臓病による死亡リスクの軽減につながった。^[12]