パニックにならず、主を信頼する
Don’t Panic!—Trust the Lord!
November 7, 2023
引用文集
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クリスチャンは困難と無縁ではありません。家庭問題、恐れ、不確かな状況、やることが多すぎること、経済的な必要、その他色々な困難があります。信仰があれば、これらの困難に直面せずにすむというわけではないのです。それでも、私たちは主を知っているので、主の約束にあずかり、それを試し、証明することができます。私の信仰が苦難の時に助けになると知っていることは、信仰を行動に移すための、また、他の人たちに奉仕し、彼らも主の愛と答えを見出せるよう助けることに人生を捧げるための、確信を与えてくれます。
では、困難な時に私を助けてくれるものとは、何でしょうか。
第一に、人格は逆境にある時に築かれると知っていることです。霊的成長のABCとは、「Adversity Builds Character」(逆境が人格を作り上げる)です。それは人生の不可欠な要素であるし、神の法則の一つなのです。神と人類のために偉業を成し遂げた人は皆、困難や障害を経験し、ありとあらゆる難関に直面しました。それに打ち勝とうと戦うことで、強くなったのです。私たちが皆経験してきたように、逆境に遭うのは嬉しいことではありませんが、いったんそれを切り抜ければ、知恵や忍耐、理解、経験を得ることになり、将来の備えがよりよく整うことを、私は知っています。
逆境の利点についてよく考えてみると、それは単に意味のない痛みを味わう無駄な時ではなかったとわかります。ヨセフの例を考えてみてください。彼は、厳しい試練の中で人格と可能性が形作られた、歴史上何百万という人の中の一例に過ぎません。ある人がこう言いました。「ヨセフはエジプトで囚人とならなかったなら、エジプトのつかさとなることもなかっただろう。鉄の鎖が彼の足につながれたが、それがもとで金の鎖が首にかけられることになったのだ。」[1]
アフリカには、こんなことわざがあります。「穏やかな海は、熟練した船乗りを育てない。」 もう一つ、私がたゆまず進み続けるのを助けてくれるのは、信仰を求めて祈ることです。信仰を祈り求めることについては、聖句からいくつもの例があげられます。そして、神が飢えた心に答えられることを、私は知っています。「その子の父親はすぐ叫んで言った、『信じます。不信仰なわたしを、お助けください。』」(マルコ9:24)
もう一つの例です。「使徒たちは主に『わたしたちの信仰を増してください』と言った。」(ルカ17:5) その他に私がしているのは、イエスが決して私を失望させられなかったという過去の経験を思い出すことです。そういった経験はたくさんあるので、そうするといつだって信仰がぐんと増します。主が御心の時に私を嵐から助け出して、穏やかな場所に連れてきてくださらなかったことは、一度もありません。状況がいかに暗くても、神は奇跡を行うことができると、私は知っています。神は状況に制限されてはいません。もう一つ、私の大きな助けになっていることがあります。それは、できるかぎり、物事が良くなると信じるようにすることです。現在の困難な状況の先にあるものを見ようと努めます。主はそれを喜ばれるからです。主は問題を解決し、私をそこから切り抜けさせ、物事をより良くされる、という信仰を私が持っているなら、主はそうしてくださいます。主をそのように信頼していることを、主は称えられるからです。
ですから、そういったことが、やっとのことで生き延びているような時、溺れそうでいつパニックになってもおかしくないような時に、私の助けとなっています。
信仰を築くこれらの原則や実践を日々の歩みに取り入れる時、たとえそれが思考という行動や祈りという行動であったとしても、それらは私の信仰を活性化させ、理論上の信仰が生きた信仰に変わっていくのです。—マリア・フォンテーン
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偉大な信仰とは、常に光の中を歩み、暗闇を知らない信仰ではない。神が沈黙しているように見える時にも忍耐強くある信仰であり、そのような信仰は必ずや報われる。—アンドリュー神父(1869–1946)
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時に、目の前の状況は不可能なものに思えることがあります。リソースが尽き、選択肢や希望が尽きた状況です。
実際のところ、私たちのほとんどには、不可能な状況をどう乗り切ればいいのか見当もつきません。
しかし、ダニエルの生涯を見ることで、困難な状況を乗り越える方法を学ぶことができます。
ダニエル2章で、ネブカデネザル王はどうしても夢を解釈してもらいたくて、占い師たちを頼りました。しかし、彼らには解釈できなかったので、彼らを処刑することにしました。そして、ダニエルのもとにも部下を送ったのです。ダニエルはパニックを起こすことなく、ただ神を礼拝しました。
これは、私たちの奉仕の務めにおいて、不可能な状況にどう反応すればいいかという素晴らしい模範です。それは自然な反応ではありません。あなたの教会が不可能な状況に直面した時、教会内には、他のさまざまな行動を提言する人がいることでしょう。
しかし、不可能な状況のただ中で神を礼拝することが、最善の反応の仕方です。
礼拝とはただの音楽以上のものです。礼拝の方法は何千もあり、たとえば、あなたの目を神に向ける時、それが礼拝です。神への愛を表現する時、それが礼拝です。礼拝するのに、教会にいる必要はありません。
神を礼拝する時、あなたは自分の焦点を問題から神へと移します。
聖書には、「夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに示されたので、ダニエルは天の神をほめたたえた」とあります。この箇所は、危機のただ中でどのように神を礼拝すべきかを示しています。(ダニエル2:19–23) 具体的に言えば、ダニエルは次の3つのことをしました。
- 神がどのような方であるかについて、神を賛美した。
- 神がどのようなことをしてくださるかについて、神をあがめた。
- 神が助けてくださることについて、神に感謝した。
それが礼拝であり、そうすることによって、自分自身や自分の問題から焦点を外し、それを神に向けることができます。
そして、私たちが焦点を向けるべき場所に、神は常におられるのです。—Pastors.com
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何年か前、私たち夫婦はまだ小さかった子どもたちを連れて、ヨーロッパから南米の新しい宣教地へと、貨物船で向かっていました。貨物の積み込みが大幅に遅れたため、真冬の地中海を航行することになったのですが、使徒パウロがマルタ沖で難破したのもこの時期です。(使徒行伝27章と28:1) そこで、私たちは同じ運命をたどらずにすむよう祈りました。
港を出て2日目に、私たちは嵐に遭遇しました。船は、かなりの荷物で船体が深く沈んでいたのですが、それでも風力12の強風で激しく揺れ動きました。子どもたちは楽しんでいましたが、私たち大人は冷静さを保とうと懸命でした。熟練の乗組員でさえ、船酔いしていたほどです。
数隻の船が沈没したという無線報告が入ってきて、私たちもこれで一巻の終わりかと思いましたが、たとえそうであっても、私は戦わずにただ負けるつもりはありませんでした。状況を変えるために、私が物理的にできることはなかったけれど、祈ることはできたのです。そこで、それまでに祈ったことがないほど熱心に祈りを捧げました。「イエスさま、どうぞお助けください!」 私は懇願しました。「あなたが私たちの唯一の希望なんです。荒れた海を鎮めてください! 船長に、この状況を乗り切るために必要な知恵、信仰、そして勇気をお与えください!」
「ブリッジに行ってごらん。」 心の中に聞こえるこの声が誰のものか、私はすぐにわかりました。イエスの声です。「船長も祈っている。一緒に祈り、彼の信仰を励ましなさい。」
私が立ち上がると、イエスはブリッジまで行く力を与えてくださいました。すると、船長は一人でそこにいて、たしかに、必死に祈っていたのです。2人で一緒に祈り続けているうちに、シチリア島を通過したあたりで嵐がおさまりました。船と積荷にいくらかの損傷はあったものの、負傷者は1人もいませんでした。私たちの祈りが答えられたのです。
最近、困難な状況を味わった後で、主はこの経験を思い出させて、重要な教訓を示してくださいました。人生の嵐に、恐れずに立ち向かいなさい、ということです。状況より上に立つこと、ブリッジに上がって、私たちの船長の手をしっかりと握ることです。イエスがその船長であり、私たちはまもなく安全な水域に入ることでしょう。祈るには信仰が必要であり、その祈りに基づいて行動するには勇気が必要ですが、信仰と行動が結びつくことで結果が生まれます。
困難を拒み、目をそらせて、それが消えることを願うのが人間というものですが、それは勝者の道ではありません。人生の嵐を、横たわったままで受け止めたりはせず、立ち上がって戦うのです。人生の戦いに打ちのめされそうになる時はあっても、勝利はあなたのものであり、角を曲がったすぐそこであなたを待っています。そして、それは戦う価値のあるものです。—アン・スプリング
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彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い出された。主があらしを静められると、海の波は穏やかになった。こうして彼らは波の静まったのを喜び、主は彼らをその望む港へ導かれた。—詩篇107:28–30
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わたしはいつくしみ深いものであり、苦難の時の避け所である。わたしに信頼する者を、わたしは世話する。あなたは苦難に満ちた世界に住んでいるが、わたしは100パーセント完全にいつくしみ深い存在であることを保証しよう。わたしは光であって、わたしには少しの暗いところもない。あなたが生涯待ち望んできた完璧さを、わたしのうちに見いだしなさい。
この世界は壊れているので、あなたはいつも避け所を必要としており、特に苦難の時にはそうである。あなたが傷ついた時には、わたしの力強く愛に満ちた臨在であなたを守りたいと願っている。だから、困難な時にはわたしに目を向けなさい。そうすれば、わたしが真実な存在であるとわかることだろう。
わが子らの多くは、困難な時にわたしの助けを受けられないでいるが、それは、真にわたしを信頼していないからだ。そのような者は、逆境に見舞われると、怒ってわたしに当たるか、あるいは問題に注目しすぎるあまり、わたしが彼らと共にいることを忘れてしまう。わたしを信頼する上で欠かせないのは、「いつまでもあなたがたと共にいる」というわたしの約束を覚えておくことだ。わたしに信頼しなさい、わが子よ。そうすれば、わたしがあなたの世話をしよう。—イエス [2]
2023年11月アンカーに掲載 朗読:レノア・ウェルシュ 音楽:ジョン・リッスン