結婚におけるコミュニケーション
Communication in Marriage
September 8, 2025
マリア・フォンテーン
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コミュニケーションの重要性に関する投稿の1つで、人はどのような方法でコミュニケーションをとるのか、また、他者との効果的な関係を築くためには、コミュニケーションというテーマがいかに重要かについて取り上げました。今回は、人間関係をより強く、より幸せなものにするための具体的な方法に、的を絞ってみたいと思います。
これからお話するのは、私が結婚に関して学んだことですが、これらの原則の多くは他の関係にも適用できることを、ぜひ覚えていてください。たとえあなたが今、結婚していなくとも、これらの原則をあなたの人生の他の関係や分野に適用することができます。
私は、2020年5月にステージ4のすい臓がんと診断された、著名な作家であり、カウンセラーであり、牧師であるティモシー・ケラーについての記事を読みました。[1] 病気を生き抜くことはできないと言われた時の彼の受け止め方や、この世に残された時間ですべきことの優先順位について語った内容が、とても良かったです。
ケラー博士は、こんな質問を受けました。「人生の残り時間がいかに短いかを考えると、あなたが重点を置きたいことは何ですか。あなたにとって、一番上に来るものは何でしょうか。」 それに対して、彼はこう答えています。
妻のキャシーと私は、チームとして働くことでよく知られています。多くの意味で、私たちは一心同体なのです。
がんと診断された直後、私たちは、結婚生活において改善できるところを改善せずに、人生の最後を迎えるのは正しくないと気づきました。
私の反応が良くなかったために、妻が私には話せないと感じ、話そうとするのをあきらめたことがいくつかあったのです。でも今では、突破口を見いだせたし、これまで話せなかったことを話し、以前にはできなかった方法でそれに対処することができるようになっています。[2]
私はこの言葉に非常に感銘を受けました。なぜなら、がんで不安を抱えながら生きているティモシー・ケラーが、結婚生活の改善を最も重要な焦点の1つにできるのなら、なおさら、私たちも自分の結婚関係において同じことができるはずではないかと思ったのです。
私が非常に感銘を受けたもう一つのことは、離婚しようとしていたある人についての話です。この夫婦はあらゆることを試してみましたが、何もうまく行きませんでした。それでも、彼は妻を愛しており、一緒にいたいと思っていたのです。
そして、毎日、彼女のために何ができるのかを尋ね、それを実行するために最善を尽くすという考えを思いつきました。妻は、彼から「ねえ、今日は君のために何をしてあげられるかな」と尋ねられるようになって、最初の3回は、きっと冗談を言っているのだろうと思いました。
そこで、彼をテストすることにし、ガレージの片付けや庭の徹底的な手入れといった、大仕事や難しい仕事を彼にさせました。彼が自分の言ったとおりに、彼女から頼まれたことをやり続けたりはしないだろうと思ったので、できるだけ大変なものにしたのです。
しかし、彼が毎日毎日、彼女のために何ができるかと尋ね続け、全力でそれに挑んでいる姿を見た彼女は、彼が自分への愛を確信させるために、何でもする覚悟でいるのだと信じ始めました。そして、彼が愛を具体的に現す行動を積極的に行ったことで、2人の結婚は救われたのです。
そのために彼は全力を注ぎこまなくてはなりませんでしたが、それこそ妻が必要としていたものでした。それは彼の愛の表れであり、彼は次のような聖書の教えを実行していたのです。「愛をもって互に仕えなさい」、なぜなら、「互に愛し合うならば、それによって、あなたがたがわたしの弟子であることを、すべての者が認めるであろう」(ガラテヤ5:13, ヨハネ13:35)。
主が私たちの結婚生活の中心におられ、私たちの関係において最も重要な方である時、主の愛が私たちを調和に導いてくれます。主の愛が私たちを動かす時、たとえパートナーからの反応が必ずしもこちらの望むものでなかったとしても、私たちは主を喜ばせているのだと確信できます。
神の愛を他の人に与えることは、自分が欲しい物を相手からもらうための契約ではありません。お返しを期待することなく、自由に与えるべき贈り物です。私たちは、パートナーからのお返しを期待して、何かをすることもあります。相手のために何か良いことをして、その見返りに相手からも良いことをしてもらいたいのです。愛は愛を生むので、多くの場合はそうなりますが、自分が望む方法で、あるいは望む時に、それが実現するとは限りません。
見返りを期待し、それを動機としているのなら、私たちが与えるものは、完全に愛の心で与えていることにはなりません。私たちは、イエスの愛を模範にするといいでしょう。イエスは、私たちには返すことができないと承知の上で、すべてを与えてくださったのです。
結婚関係の秘訣
1. 「人はすべて、聞くに早く、語るにおそく、怒るにおそくあるべきである」(ヤコブ1:19)。
2. 良好なコミュニケーションは、どんな結婚生活においても重要な要素です。良好なコミュニケーションによって、あなたも配偶者も、互いから敬意を払われ、認められ、理解されていると感じられるようになります。
3. イエスとの強固な関係を、結婚生活の中心に据えましょう。信仰は、あなたと配偶者に共通の基盤を与えます。それは親切と愛からなる基盤であり、あなたがたはその基盤をもとに、二人を養い、主の霊によって互いを近づけるような結婚生活を築くことができます。
4. 赦しを実践しましょう。エペソ4:32には、こうあります。「互に情深く、あわれみ深い者となり、神がキリストにあってあなたがたをゆるして下さったように、あなたがたも互にゆるし合いなさい。」 神の愛と赦しを信じることは、ほとんどの誤解を解くのに不可欠であり、問題を解決する際に力を与えてくれ、幸せな未来をもたらします。
5. 私たちは、聖書と聖霊を、インスピレーション、力、励ましの源とできます。その導きと知恵を実践するなら、それはあなたの結婚を癒やし、改善し、構築するのに役立つのです。
6. 配偶者や大切な人への思いやりを示す方法として、メモを残すのもいいでしょう。普段の日課とは違うことをする時、相手が心配しないように、自分が何をしていて、どこにいるのかを知らせるために、手書きのメモを残したり、携帯メールを送ったりするのです。
7. 配偶者の興味が自分のとは大きく異なる場合、どのように関わればよいのか難しい場合があります。夫婦の一方は室内にいて本を読むのが好きで、もう一方はアウトドア派で釣りやハイキングが好きということがあるかもしれません。言うまでもなく、イエスを愛し、イエスのために共に働く二人にとって素晴らしいことは、主への信仰と愛の上に築かれた、この非常に美しい共通の基盤を常に持っていることです。
配偶者が楽しんでいることに関心を示す方法を見つけるのは大切です。お互いにとって大切なことを交互に行うことにした夫婦もいます。そうすることで、互いが最も楽しいと思うことを経験できるのです。
お互いの関心事について少し知ろうとすることで、相手を愛していることだけではなく、相手に満足感と充実感を与えるものに関心があることを示すことができます。
配偶者が、釣りをしたことやその日に釣れた魚について興奮して話すなら、いくつかの質問をすることで興味を示すことができます。例えば、釣れた魚の種類や、どうやったらよく釣れるのかといったことです。
興味を示すようにしましょう。なぜなら、そうすることによって、自分が愛する人について何かを学べるからです。また、あなたが男性であれば、配偶者がセール価格で新しい服を手に入れ、興奮して帰宅した時に、彼女が買い物上手なことをほめ、新しい服が似合うと告げるといいでしょう。
8. 神は私たちを愛しておられます。そして、私たちに関する最もささいなことに至るまで関心を持っておられます。あらゆる機会を用いて、私たちを奮い立たせ、励まし、慰めてくださるし、あらゆる面で成長できるよう助けてくださいます。それが愛であり、私たちの結婚で模範としたい資質です。
9. 配偶者から何か言われて、自分が非難されているように感じたら、すぐにそれを解決するのが一番です。「だんまり作戦」を取ったり、怒ったり、傷ついたりしないようにしましょう。まず手始めに、相手はあなたを非難するつもりでそう言ったのではないと考え、それを個人的に受け取らないようにすることです。小さな誤解を心の中に溜め込んでおくと、いずれ傷や恨み、つらみが生まれることがあります。何があっても赦そうと決めてしまう方が、傷ついたことばかり考えるあまり、それが心に根を張り、苦い根が育ってしまうよりもずっと楽に赦せるものです。
結婚関係の助けとなる聖書の言葉
「夫たる者よ。キリストが教会を愛してそのためにご自身をささげられたように、妻を愛しなさい」(エペソ5:25)。
「柔らかい答は憤りをとどめ、激しい言葉は怒りをひきおこす」(箴言15:1)。
「すべての無慈悲、憤り、怒り、騒ぎ、そしり、また、いっさいの悪意を捨て去りなさい」(エペソ4:31)。
「友はいずれの時にも愛する、兄弟はなやみの時のために生れる」(箴言17:17)。
「だれが賢い妻を見つけることができるか、彼女は宝石よりもすぐれて尊い。その夫の心は彼女を信頼して、収益に欠けることはない」(箴言31:10–11)。
「事の終りはその初めよりも良い。耐え忍ぶ心は、おごり高ぶる心にまさる。気をせきたてて怒るな。怒りは愚かな者の胸に宿るからである」(伝道の書7:8–9)。
「わたしのいましめは、これである。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない」(ヨハネ15:12–13)。
「妻たちよ。主にある者にふさわしく、夫に従いなさい。夫たちよ、妻を愛しなさい。妻に対して辛く当たってはいけません。子どもたちよ、すべてのことについて両親に従いなさい。それは主に喜ばれることなのです。父たちよ、子どもたちを苛立たせてはいけません。その子たちが意欲を失わないようにするためです。… 何をするにも、人に対してではなく、主に対してするように、心から行いなさい。あなたがたは、主から報いとして御国を受け継ぐことを知っています。あなたがたは主キリストに仕えているのです」(コロサイ3:18–21, 23–24 新改訳2017)。
「申し分なく謙虚で、かつ柔和であり、寛容を示し、愛をもって互に忍びあい、平和のきずなで結ばれて、聖霊による一致を守り続けるように努めなさい」(エペソ4:2–3)。
「悪い言葉をいっさい、あなたがたの口から出してはいけない。必要があれば、人の徳を高めるのに役立つような言葉を語って、聞いている者の益になるようにしなさい」(エペソ4:29)。
「何よりもまず、互の愛を熱く保ちなさい。愛は多くの罪をおおうものである」(1ペテロ4:8)。
「だから、あなたがたは、神の力強い御手の下に、自らを低くしなさい。時が来れば神はあなたがたを高くして下さるであろう。神はあなたがたをかえりみていて下さるのであるから、自分の思いわずらいを、いっさい神にゆだねるがよい」(1ペテロ5:6–7)。
「たといまた、わたしに預言をする力があり、あらゆる奥義とあらゆる知識とに通じていても、また、山を移すほどの強い信仰があっても、もし愛がなければ、わたしは無に等しい。たといまた、わたしが自分の全財産を人に施しても、また、自分のからだを焼かれるために渡しても、もし愛がなければ、いっさいは無益である。愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない。不作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。不義を喜ばないで真理を喜ぶ。そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。愛はいつまでも絶えることがない」(1コリント13:2–8)。
初版は2022年7月 2025年9月に改訂・再版 朗読:デブラ・リー
1 ティモシー・ケラーは、2023年5月19日、72歳で天に召されました。
2 ティッシュ・ハリソン・ウォーレン『How a Cancer Diagnosis Makes Jesus’ Death and Resurrection Mean More(がんの診断が、いかにイエスの死と復活をより意味深いものとするか)』(ニューヨーク・タイムズ、2022年4月10日)