ルツ物語(パート2)

3月 22, 2026

The Story of Ruth—Part 2
March 9, 2026

ピーター・アムステルダム

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前回の記事の終わりで、ボアズはルツに、刈入れが全部終わるまで、彼の畑で落ち穂を拾っていいと言いました。そこでルツは、大麦と小麦の刈入れの間ずっと、他の女性たちと一緒にボアズの畑で作業を続けました。

時にしゅうとめナオミは彼女に言った、「娘よ、わたしはあなたの落ち着き所を求めて、あなたをしあわせにすべきではないでしょうか。あなたが一緒に働いた女たちの主人ボアズはわたしたちの親戚ではありませんか。彼は今夜、打ち場で大麦をあおぎ分けます。それであなたは身を洗って油をぬり、晴れ着をまとって打ち場に下って行きなさい。ただ、あなたはその人が飲み食いを終るまで、その人に知られてはなりません。そしてその人が寝る時、その寝る場所を見定め、はいって行って、その足の所をまくって、そこに寝なさい。彼はあなたのすべきことを知らせるでしょう。」 ルツはしゅうとめに言った、「あなたのおっしゃることを皆いたしましょう」(ルツ3:1–5)。

ナオミはルツの将来を案じていました。ルツの落ち着き先、安定の場、家庭を捜してあげたいと思ったのです。ボアズは、彼女らにとって買い戻しの権利のある親類なので、ルツの亡き夫(マロン)の名が残るように、ルツと結婚する責任がありました。ナオミは、その晩、ボアズが麦打ち場(脱穀場)で大麦をふるい分けるのを知っていたので、ルツに、体を洗って香油を塗り、一番いい衣(あるいは上着)をまとって行くよう言いました。ルツはおそらく、それまで服喪中であることを示す衣を着ていたのでしょう。別の衣をまとうことで、自分はもはや喪に服してはおらず、普段の生活に戻るのだということを示しています。

そしてナオミは、ボアズが横になって眠るまで、姿を見られないようにしなさいと指示しました。ボアズは自分のもとで働く人たちと一緒にではなく、おそらく少し離れた特別の場所で寝ていたのでしょう。ルツは、ボアズが眠りについたら、彼の足の所をまくって、そこに寝るよう言われました。ナオミは、ボアズが起きて、足の所にルツがいるのを見た時、彼が彼女のすべきことを知らせると、確信を持って言いました。

こうして彼女は打ち場に下り、すべてしゅうとめが命じたとおりにした。ボアズは飲み食いして、心をたのしませたあとで、麦を積んである場所のかたわらへ行って寝た。そこで彼女はひそかに行き、ボアズの足の所をまくって、そこに寝た(ルツ3:6–7)。

食事をして、お酒も飲み、ボアズはいい気分になっていたことでしょう。寝る時間になると、彼は積み重ねてある麦の端の方に行って、そこで寝ました。ルツはボアズの寝場所を見届けた上で、彼が眠りについてからそこへ行き、足の所をまくって(足は夜の空気にさらされたことでしょう)、ボアズの足の所に寝ました。

夜中になって、その人は驚き、起きかえって見ると、ひとりの女が足のところに寝ていたので、「あなたはだれですか」と言うと、彼女は答えた、「わたしはあなたのはしためルツです。あなたのすそで、はしためをおおってください。あなたは最も近い[買い戻しの権利のある(新改訳2017)]親戚です」(ルツ3:8–9)。

ルツは自分が誰なのかをボアズに明かすにあたり、「あなたは買い戻しの権利のある親戚です」と告げています。ボアズとルツのこの接触は性的なものだったと推測する人もいますが、ESV訳聖書の注釈では、このように説明されています。「彼の『足の所』(ヘブル語でマルゲロー)とは、性的接触の婉曲表現だとされることがありますが、それを裏付ける証拠はないし、そのような捉え方はこの物語では不適切なものとなります。」

ボアズは「買い戻しの権利のある親戚」の責任を理解していました。それは、ルツと結婚することです。そして、息子が生まれたら、その子は、彼女の最初の夫でありナオミの息子であるマロンの子とみなされます。

ボアズは言った、「娘よ、どうぞ、主があなたを祝福されるように。あなたは貧富にかかわらず若い人に従い行くことはせず、あなたが最後に示したこの親切は、さきに示した親切にまさっています。それで、娘よ、あなたは恐れるにおよびません。あなたが求めることは皆、あなたのためにいたしましょう。わたしの町の人々は皆、あなたがりっぱな女であることを知っているからです。たしかにわたしは近い[買い戻しの権利のある]親戚ではありますが、わたしよりも、もっと近い親戚があります」(ルツ3:10–12)。

ボアズは、気が進まないとか、ためらったとかいうことはなく、むしろ、ルツとの結婚に積極的で、彼女が神から祝福されるように祈りました。ここでもまた、ルツを「娘」と呼んでいるので、年齢はかなり離れていたはずです。ボアズは、「あなたが最後に示したこの親切は、さきに示した親切にまさっています」 と言いましたが、おそらく、ルツがナオミの世話をしてきたことを「さきに示した親切」と言ったのでしょう。ボアズの頭の中では、ルツが彼との結婚を選んだ優しさは、彼女がナオミのためにしたすべてのことにもまさる優しさだったのです。

ボアズは、ルツの求め通りにすることを承諾しました。しかし、2人の間に立ちはだかる障壁がありました。彼女の亡き夫には、ボアズよりも近い親戚がいたので、ルツと結婚する責任を有しているのはその人だということです。もし、その人がルツと結婚しないことを選んだなら、ボアズがその次に近い親戚で、彼女と結婚すべき人になります。

「今夜はここにとどまりなさい。朝になって、もしその人が、あなたのために親戚の義務をつくすならば、よろしい、その人にさせなさい。しかし主は生きておられます。その人が、あなたのために親戚の義務をつくすことを好まないならば、わたしはあなたのために親戚の義務をつくしましょう。朝までここにおやすみなさい。」 ルツは朝まで彼の足のところに寝たが、だれかれの見分け難いころに起きあがった。それはボアズが「この女の打ち場にきたことが人に知られてはならない」と言ったからである。そしてボアズは言った、「あなたの着る外套を持ってきて、それを広げなさい。」 彼女がそれを広げると、ボアズは大麦六オメルをはかって彼女に負わせた。彼女は町に帰り …(ルツ3:13–15)。

そのように決断した上で、ボアズはルツに、朝まで自分の足の所で休みなさいと言いました。ルツが行く前に、ボアズは大麦を6杯量って、それを彼女に与えました。万が一、誰かがそんなに朝早くルツを見かけたとしても、彼女は穀物を買って家に帰るところだと思われたことでしょう。

[ルツが]しゅうとめのところへ行くと、しゅうとめは言った、「娘よ、どうでしたか。」 そこでルツはその人が彼女にしたことをことごとく告げて、言った、「あのかたはわたしに向かって、から手で、しゅうとめのところへ帰ってはならないと言って、この大麦六オメルをわたしにくださいました。」 しゅうとめは言った、「娘よ、この事がどうなるかわかるまでお待ちなさい。あの人は、きょう、その事を決定しなければ落ち着かないでしょう」(ルツ3:16–18)。

ナオミはルツに、事の次第がはっきりするまで、辛抱強く待っていればいいと言いました。彼女はその日の内に決着がつくと確信していましたが、二人とも、結果が分かるまで待っていなければならなかったのです。一方、ボアズはルツと結婚できるように手配をするため、動き出しました。

ボアズは町の門のところへ上っていって、そこにすわった。すると、さきにボアズが言った親戚の人が通り過ぎようとしたので、ボアズはその人に言った、「友よ、こちらへきて、ここにおすわりください。」 彼はきてすわった。ボアズはまた町の長老十人を招いて言った、「ここにおすわりください。」 彼らがすわった時 …(ルツ4:1–2)。

古代において、町の門ではよくビジネスや法的取引が行われたり、人々が集まって交流したりしていました。買い戻しの権利のある人が来たので、ボアズは彼に座ってくれるよう頼みました。それから、門のところにいた町の長老10人を連れて来て、これから起こることの証人になるために、一緒に座るようお願いしました。

ボアズは親戚の人に言った、「モアブの地から帰ってきたナオミは、われわれの親族エリメレクの地所を売ろうとしています。それでわたしはそのことをあなたに知らせて、ここにすわっている人々と、民の長老たちの前で、それを買いなさいと、あなたに言おうと思いました。もし、あなたが、それをあがなおうと思われるならば、あがなってください。しかし、あなたがそれをあがなわないならば、わたしにそう言って知らせてください。それをあがなう人は、あなたのほかにはなく、わたしはあなたの次ですから。」 彼は言った、「わたしがあがないましょう」(ルツ4:3–4)。

ボアズは早速本題に入り、買い戻しの権利のあるその人に、ナオミとルツ、そしてエリメレクの所有地の状況を知らせています。というのも、その人が一番近い親族として、所有地を買い取る資格があったからです。最も資格のあるその人は、土地を買い取ることに最初は同意しましたが、買い取りに条件があることにまだ気づいていません。その点について、ボアズがさらに説明します。

そこでボアズは言った、「あなたがナオミの手からその地所を買う時には、死んだ者の妻であったモアブの女ルツをも買って[引き受け(新改訳2017)]、死んだ者の名を起してその嗣業を伝えなければなりません。」 その親戚の人は言った、「それでは、わたしにはあがなうことができません。そんなことをすれば自分の嗣業をそこないます。あなたがわたしに代って、自分であがなってください。わたしはあがなうことができませんから」(ルツ4:5–6)。

ルツの説明をするにあたり、ボアズは彼女を「死んだ者の妻」、また「モアブの女」と呼んでいます。おそらく、その人が土地を買い取ってルツと結婚するのはいい考えではないと思わせようとしたのでしょう。ナオミの世話をし、ルツと結婚しなければならないとなれば、彼の生活やすでに持っている土地の面で、話がややこしくなってきます。そこで、考えを改め、買い戻しの権利をボアズに譲りました。そして、それを正式な決定とするために、法的取引における当時の慣習に従い、自分の履物をボアズに渡しました(ルツ4:7–8)。

その親戚の人が土地の買い取りを断った後、ボアズは取引の証人である長老たちと、そこに集まっていた「すべての民」に話しかけ、ナオミの夫エリメレクとその息子たちの所有地を買い取ること、そして、ルツと結婚することを宣言しました(ルツ4:9–10)。

すると門にいたすべての民と長老たちは言った、「わたしたちは証人です。どうぞ、主があなたの家にはいる女を、イスラエルの家をたてたラケルとレアのふたりのようにされますよう。どうぞ、あなたがエフラタで富を得、ベツレヘムで名を揚げられますように。どうぞ、主がこの若い女によってあなたに賜わる子供により、あなたの家が、かのタマルがユダに産んだペレヅの家のようになりますように」(ルツ4:11–12)。

長老たちと共に町の門にいた人たちは、自分たちが、ナオミに属するすべての物をボアズが買い取ったことの証人であると言いました。また、3つの祝福を与えましたが、それはおそらく長老の中の代表者が行ったのでしょう。1つ目は、ルツが、2人合わせて12人の息子がいたラケルとレアのように多くの子を授かれるように。2つ目の祝福は、ボアズがこの新しい家族の家長として繁栄し、その名がイスラエルで絶えることなく残り続けるようにとのことです。3つ目の祝福は、今はまだ妊娠もしていないけれど、ボアズとルツにいずれ生まれることになるオベデという子どもに関連しています。

2人が結婚してまもなく、ルツは妊娠し、男の子を産みました(ルツ4:13)。

そのとき、女たちはナオミに言った、「主はほむべきかな、主はあなたを見捨てずに、きょう、あなたにひとりの近親[買い戻しの権利のある者(新改訳2017)]をお授けになりました。どうぞ、その子の名がイスラエルのうちに高く揚げられますように。彼はあなたのいのちを新たにし、あなたの老年を養う者となるでしょう。あなたを愛するあなたの嫁、七人のむすこにもまさる彼女が彼を産んだのですから。」 そこでナオミはその子をとり、ふところに置いて、養い育てた。近所の女たちは「ナオミに男の子が生れた」と言って、彼に名をつけ、その名をオベデと呼んだ。彼はダビデの父であるエッサイの父となった(ルツ4:14–17)。

ナオミがかつて非常に虚しく感じていたこと(ルツ1:19–20)を知っていたベツレヘムの女性たちは、ここで賛美と祈りを捧げています。ナオミを見捨てず、買い戻しの権利のある者を与えてくださったことで、主を賛美し、イスラエル中でその子の名が上げられるようにと祈ったのです。また、ナオミに対して無条件の愛を示してきた嫁のルツを称賛し、彼女は「七人のむすこにもまさる」と言いました。

その子はオベデ(しもべ、仕える者という意味)と名付けられましたが、それはおそらくオバデヤ(主のしもべという意味)を短くしたものでしょう。そして、オベデはエッサイの父となり、エッサイはダビデ王の父となったので、ルツはダビデの曽祖母ということになります(ルツ4:18–22)。

ある著者は、ルツ記を要約して、このように述べています。「最終的に神はすべての障害を克服して、虚しさを感じていたナオミを豊かな人生に導き、独身のボアズを幸せな結婚生活に導き、異国出身のやもめルツをイスラエルで最も偉大な王の曾祖母という立場に導かれたのです。」[1]

初版は2022年11月 2026年3月に改訂・再版 朗読:ルーベン・ルチェフスキー


1 W. Gary Phillips, Holman Old Testament Commentary, Judges and Ruth (B&H Publishing Group, 2004), 353.

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