すべての場所で、すべての人に福音を

3月 4, 2025

Good News for Everyone Everywhere
December 3, 2024

引用文集

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イエスのことを人々に語るため、誰かが初めて公の場で立ち上がったとき、彼らが明確にしたことがあります。それは、そのメッセージはすべての人に向けられたものだということです。

それは素晴らしい日で、「教会の誕生日」と呼ばれることもあります。神の霊の大きな風がイエスの弟子たちの間を吹き抜け、彼らを新たな喜びと神の臨在感と力で満たしました。彼らのリーダーであるペテロは、ほんの数週間前には、嘘をつき、ののしり、イエスを知っていることさえ否定したために、赤ん坊のように泣いていました。そんな彼が、すっかり立ち直り、大勢の群衆に向かって、世界を永遠に変える出来事が起こったのだと説明したのです。ペテロは、神が自分のためにしてくださったのと同じことを、全世界の人のためにしようとしていました。長い冬の後の春の花のように、新しい命、赦し、新しい希望と力が開花するようにと。新しい時代が始まり、生ける神がこの世に新しいことを行おうとしておられました。その時、その場で、ペテロの言葉に耳を傾けている人たちと共に。

ペテロは、こう言いました。「この約束は、… すべての者、すなわちあなたがたと、あなたがたの子らと、遠くの者一同とに、与えられているものである。」(使徒2:39) それは、ただ隣に立っている人のためだけではありません。すべての人のためだったのです。それから驚くほど短期間のうちに、このことは現実となり、始まったばかりのこの運動は、当時知られていた世界の多くの地域に広まりました。そして、この「すべての者」への約束が実現したのは、一つには、初期キリスト教指導者たちの著書によりました。そういった短い著書は、主にイエスに関する手紙や物語であり、広く回覧され、熱心に読まれました。宗教的・知的エリートを対象としたことはまったくなく、最初から、すべての人のためのものだったのです。…

使徒行伝(使徒言行録)は、神が至る所で新しいことをされているのを見いだし、イエスの福音を世界中に伝えることを学んでいた初期のクリスチャンたちのエネルギーと興奮に満ち溢れています。また、政治的・宗教的権威との深刻な衝突は言うに及ばず、リーダーシップや金銭、民族間の分裂、神学や倫理などをめぐる危機といった、当時の教会が直面し、今日でも直面しているさまざまな課題や問題もたくさん記されています。最初の使徒たちの時代でさえ、「通常の教会生活」が何の問題もない順風満帆なものではなかったと知ると、励まされます。それと同じく、数々の困難にあっても、初代教会があれほど精力的に福音宣教を押し進めることができたと知ると、勇気づけられます。

実のところ、「順風満帆」で思い出すのは、聖書の中で最も多くの旅が描かれているのが使徒行伝であり、その幾つもが海を渡る旅だということです。… 使徒行伝に退屈なページなどありません。しかし、それと同じくらい重要なのは、私たちが自分自身の人生や霊性、イエスに従うこと、また、神の国のための働きにおいて、いかなる「旅」に出ようとも、神の御霊は私たちをも導き、神への奉仕において豊かに実を結ぶ者としてくださるということを、この本が思い出させてくれることです。—N・T・ライト [1]

招待

地上を歩かれた神の愛であり神の言葉、それがイエスでした。イエスには、この世の人たちの罪のために死ぬという究極の代価を払う任務がありました。それによって、イエスは私たちが神と和解し、神の子どもとなり、父なる神から永遠の命という相続を受け継ぐ権利を持てるようにしてくださったのです。

神の家族の一員であり、子たる身分を授けられている私たちは(ガラテヤ4:4–7)、神の壮大な物語と、人類への愛、被造物への愛という点において、ある役割を果たしています。この物語を聞いたことのない人や理解していない人、信じるのに苦労している人に、それを伝えるよう召されているのです。私たちのうちには神の御霊が宿っているので、私たちは聖霊の宮です。神と直接の関係を持つキリストの使いなのであり、イエスご自身からの任務は、他の人たちにメッセージを伝え、この物語を語り、彼らも神の家族の一員になれると教えてあげることです。彼らも神の御国の一員になり、神に新しく造られた者になることができます。罪は、まったくの代価なしで、赦していただけます。神の家族の一員となるための代価は、すでに支払われているのですから。ただ求めるだけでいいのです。

そのすべての結果として神が与えようとしておられるものが何であるかを、覚えておくのは良いことです。そうすれば、それを私たちが他の人に伝えようとするときに、はっきりと思い出せるからです。神の家族の一員となった人は、想像を超えるほど美しい場所で永遠に生きることになります。そこは、太陽も星も照らす必要のない場所です。神がそこを照らす光となられるからです。死も、悲しみも、叫びも、痛みもありません。そこは、いかなる悪もなく、神が永遠に人と共に宿られる場所なのです。(参照: 黙示録21章) 私たちのメッセージは、喜びと幸せのメッセージであり、最も素晴らしい場所で永遠に生きることができ、また今ここでも新しい人生を生きることができる、というメッセージです。それこそ、真に最も重要なメッセージと言えます。

このような永遠の祝福にあずかる者として、また神の使節(2コリント5:20)、つまりメッセンジャーとして、私たちは神とその愛を反映する生き方をし、それによって、人々が神の子どもである私たちを通して、神の光を見、温かさを感じることができるよう、最善を尽くすべきです。私たちは神からの招待状を携えて、すべての人を神の御国の宴会に招く使者でなければなりません。(ルカ14:23) 誰でも神の子どもになることができ、誰でも神の贈り物を代価なしに手に入れることができるという良き知らせ、福音を宣べ伝えるべきなのです。

私たちは言葉と行いによって、神とその愛、赦し、憐れみを切実に必要としているこの世界に愛を伝える、愛の使者です。(ローマ10:14) 主につかわされた者として、私たちの仕事は、招待状を渡し、良き知らせを伝え、私たちの言葉と行動と愛によって、この物語を語ることです。できる限りすべての人を招待しましょう。—ピーター・アムステルダム

すべての人が招かれている

すべての人が福音を信じるわけではありませんが、すべての人が招かれるべきです。すべての人がイエスを信じて救われるわけでないことは、聖書からも、経験からも、私たちはわかっています。それどころか、多くの人は信じようとせず … イエスを拒絶することでしょう。それなのに、なぜ彼らに、イエスを信じるよう勧める必要があるのでしょうか。…

私たちが誰にでも福音を勧めるのは、私たちに理解しうる限り、出会う誰でも信じる可能性はあるからです。神は、ご自分が誰を引き寄せるのかをご存知です。(ヨハネ6:44) そしてイエスは、誰がご自分の声に聞き従うのかをご存知です。(ヨハネ10:27) しかし、私たちにはわかりません。だから、とにかく福音を伝えるのです。…

「主の御名を呼び求める者は、すべて救われる。」(ローマ10:13) この聖句は、「すべて」の人について、ニつのことを教えています。第一に、それは単にすべての人ではなく、「呼び求める者は、すべて」です。すべての人が救われるわけではありませんが、「主の御名を呼び求める者は、すべて」必ず救われます。第二に、「呼び求める者は、すべて」とは、それが誰であってもということです。

あなたの人生がどれほどめちゃくちゃであろうと、これまでどんな過ちを犯したのであろうと、自分の将来がどれほど惨めなものに思えようと、関係ありません。たとえあなたが、犯罪を繰り返す向こう見ずなティーンエイジャーでもあっても、主の御名を呼び求めるなら、あなたは救われます。あなたが何語を話そうと、どんな肌の色をしていようと、銀行口座の残高がいくらであろうと、関係ありません。自分の罪から離れてイエスを信じるなら、あなたは救われます。

そのように、イエスは誰でも救うことができるので、私たちはこのメッセージをすべての人に勧めます。… すべての魂は渇いており、すべての魂は傷ついています。ですから、神はこの言葉を、すべての魂に向けて語っておられるのです。「さあ、渇いている者は皆、水のもとに来るがよい。金のない者も来るがよい。買って、食べよ。来て、金を払わず、代価も払わずにぶどう酒と乳を買え。」(イザヤ55:1 聖書協会共同訳)

恵みは、この意味において、すべての人を平等な存在とします。恵みは、人間が神と和解するための唯一の道なのです。福音を中心に据えている専業主婦の母親に育てられ、幼い頃から教会に通っている子どもも、ダウンタウンに住む重症の麻薬中毒者も、もし彼らが神に属する者なら、和解する道は同じです。恵み、恵み、そう、恵みなのです。…

誰が信じるのか、あるいは信じないのかわからないから、イエスは誰でも救うことができるから、誰もが代価なしに手に入れられるから、今日、この福音はすべての人に届けられているのです。—ジョナサン・パーネル [2]

2024年12月アンカーに掲載 朗読:ガブリエル・ガルシア・バルディビエソ 音楽:マイケル・フォガティー


1 N. T. Wright, Acts for Everyone (SPCK, 2008).

2 https://www.desiringgod.org/articles/good-news-everyones-invited

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