ブルークリスマスがホワイトクリスマスに

12月 8, 2021

A Blue Christmas Turned White
December 8, 2021

カーティス・ピーター・バン・ゴーダー

今年のクリスマスに寂しい思いをしているのは、あなただけではありません。悲しげなクリスマスソングが流行るのは、それが多くの人の心に響くからです。

今年のクリスマスは、家族や友人を亡くした悲しみに染まったものとなる、という人も多いことでしょう。ツリーを飾ることや、クリスマスの伝統的な行事は、他の人たちが家族や友人と楽しんでいるというのに、あなたが一人きりであるなら、以前と同じようにはなりません。名曲「ブルークリスマス」(憂鬱なクリスマス)にあるように、「君がここに一緒にいないなら、前と同じようにはならない」のです。[1]

しかし、この楽しいはずの時期に、どれだけの人が孤独に感じているのでしょうか。統計によると、イギリスでは50万人近くの高齢者がクリスマスの時期に一人で過ごし、80万人が「慢性的な孤独」を感じているそうです。[2]

慢性的な孤独とは、単に一人でいることではありません。長期にわたり、他の人からの支えがなくて孤立していると感じることを意味します。人に囲まれていても、孤独だということがあります。抑制やコミュニケーション能力の欠如によって、自ら孤立を招いているという場合もあります。身体的な問題から引きこもっている人もいます。いずれにせよ、このように一人きりでいることは、自己価値感の低下、うつ、ストレスなどを引き起こし得ます。

多くの人にとって、テレビが主な慰めの場となっています。80代になった母を訪ねたとき、母がどれだけテレビを見て過ごしているかを見て、悲しい気持ちになったのを覚えています。テレビが母の一番の相手となっており、ずっとつけっぱなしなのです。さらに皮肉なことに、母は自分では決してできないような、家や庭のリフォーム番組を夢中になって見ていました。

「孤独な人たち、みんなどこから来たんだろう。」 ポール・マッカートニーは、誰にも気づかれずに孤独死した老女を歌った「エリナー・リグビー」で、そう歌っています。[3]

ポールは、この曲は少年時代の体験からインスピレーションを得たと語っています。「まだ小さい頃、僕はおばあさんたちが大勢住んでいる団地に住んでいたんだ。おばあさんたちは第二次世界大戦について興味深い話をしてくれるから、一緒にいるのが楽しかった。よく、あるおばあさんの所に行って、買い物をしてあげた。外に出られなかったからね。だから、僕の頭の中には、孤独な老婦人の姿があったんだ。何年か経って、他にも何人か会ったけれど、その人たちの寂しさに共感したのかもしれない。それで、教会でお米をもらっている、人生に夢を持てない孤独なおばあさんの歌を作ったんだ。」[4]

マッカートニーの経験談から分かるのは、お年寄りがいかに若い人たちと一緒に過ごして自分の体験を語ることを楽しむかということです。年長の世代には、次の世代に伝えられることがたくさんあります。また、若い世代は、年長者の知恵や経験から恩恵を受けることができます。ある年配のアーティストを訪ねたときに、私が受けた影響が思い出されます。友人や親には言えないようなことも、彼女には言えるような気がしました。若い世代は、すでに人生の長い道のりを歩んできた人たちから、多くの恩恵を受けることができるのです。

私たち家族が日本に住んでいた時、子どもたちとその友人で歌のグループを作り、クリスマスの季節に老人ホームを訪問していました。そのプログラムのハイライトは、演奏の後に子どもたちがお年寄りに混じって話をし、ハグや小さなプレゼントをすることでした。お年寄りの中には、「毎年来てもらっているので、一年中あなたたちが来るのを心待ちにしている」と言う人もいました。私たち以外にそこを訪れる人たちはあまりいなかったようです。

このクリスマスに、他の人の孤独を、あるいは自分自身の孤独を和らげるために、私たちにできることは何でしょうか。ある記事で見つけた、あなたにも役に立つかもしれないヒントをご紹介しましょう。

1. 周りの人に手を差し伸べましょう。もしかしたら、家族のいない人が近所にいるかもしれません。あるいは、あなたが孤独だと知ったら、ぜひ家に招待したいと思ってくれる友人がいるかもしれません。手を差し伸べることによって、他の人と一緒に過ごすという一歩を踏み出しましょう。この時期にあって、あなた自身がその人への贈り物となり、誰かと一緒に過ごす機会を作ってください。

2. 困っている人を助けましょう。この時期には、地域社会の人々を助ける方法がたくさんあります。地域の食料配給所でボランティア活動をしたり、クリスマスカードを送ったり、あなたが情熱を傾けられる活動を積極的に見つけて、参加してください。神から与えられた賜物の良き管理者として、他の人々のために尽力しましょう。そうすれば、人助けをすることでどんなコミュニティーが生まれるかに、あなたは驚くかもしれません。

3. イエスの臨在で心を満たしましょう。社会の営みにあまり邪魔されないこの時期に、救い主をより深く知るようにしましょう。主の御言葉を読み、この時期に主が何を教えたいと願っておられるのか、主に尋ね求めてください。

4. 他の人のために祈りましょう。もし、誰かが辛い思いをしていると聞いたら、立ち止まってその人のために祈りましょう。また、あなた自身のために祈りを求めることも恐れないでください。

5. 外出できる時には外に出ましょう。この時期には、キャロリングやコンサート、キャンドルサービス、クリスマスライトショーなど、さまざまなクリスマスイベントを楽しむことができます。お祝いの行事に参加して私たちの救い主を礼拝しましょう。[5]

ビリー・グラハムは言いました。「私に言える最も重要なこととは、キリストを知っているなら、私たちは決して一人きりではないということです。」


1 エルビスの曲でアニメ版の「ブルークリスマス」。マルティナ・マクブライドとの共演でエルビス自身が演奏しながら歌っている動画もあります。

2 Age UKは、今年のクリスマスには45万人の高齢者が一人で過ごすことになると推定しています。また、Campaign to End Lonelinessによると、イングランドでは80万人の高齢者が「慢性的な孤独」を感じ、ほぼ300万人が孤独で、500万人が主にテレビと一緒に毎日を過ごしているとのことです。

3 ポールが歌う「エリナー・リグビー」。レイ・チャールズによる別のバージョン

4 ポール・マッカートニー。2018年、GQとのインタビューにて。

5 ビリー・グラハム伝道協会の記事より:https://billygraham.org/story/are-you-lonely-this-christmas

Copyright © 2024 The Family International