メッセンジャーの天使

12月 21, 2016

Angelic Messengers
December 21, 2016

ティナ・カップ

クリスマスの物語の中でも重要なのは、天使がただの人間に姿を現して、イエスの誕生という胸躍らせる知らせを伝える場面です。

クリスマスの物語で、最初に天使からの訪問を受けたのはザカリヤでした。彼は祭司であり善人でした。長年、神を恐れる有意義な人生を送ってきました。妻のエリサベツは不妊の身で子どもがおらず、2人はすでに子どもを持つ年齢をはるかに超えていました。そのような中で、ザカリヤは自分の仕事に集中し、祭司としての任務を果たしていたわけです。そんな時、突然天使ガブリエルが現れました。この話はルカに話してもらったほうがいいでしょう。彼はこう書いています。

「ザカリヤはこれを見て、おじ惑い、恐怖の念に襲われた。そこで御使が彼に言った、『恐れるな、ザカリヤよ、あなたの祈が聞きいれられたのだ。あなたの妻エリサベツは男の子を産むであろう。その子をヨハネと名づけなさい。彼はあなたに喜びと楽しみとをもたらし、多くの人々もその誕生を喜ぶであろう。』」[1]

続けて天使は、ザカリヤの息子が大勢のイスラエル人を神に立ち帰らせること、エリヤの霊と力を持っていること、主の到来のために道を備えることを告げたのでした。

ザカリヤは喜び踊ったに違いないと思うかもしれません。祈り求めていた息子がついに与えられ、しかも、その息子は特別な子どもになるのですから! ところが、ザカリヤは天使に面と向かってこう言いました。「どうしてそんな事が、わたしにわかるでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています。」[2]

ガブリエルは、「わたしは神のみまえに立つガブリエルであって、この喜ばしい知らせをあなたに語り伝えるために、つかわされたものである。」 と説明しなければならないことに、少々イライラしたのではないでしょうか。主は明らかに、この年老いたザカリヤがご自分の言葉を疑っていることをあまりうれしく思われませんでした。そこで、神はガブリエルを通してかなり厳しい罰をお与えになったのです。「時が来れば成就するわたしの言葉を信じなかったから、あなたは口がきけなくなり、この事の起る日まで、ものが言えなくなる。」[3]

その半年後、天使ガブリエルはまた地上に現れました。今回はヨセフと婚約したばかりのマリヤのところでした。

天使が現れ、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」と言いました。マリヤもザカリヤと同じく少し恐れ、この挨拶はどういう意味なのだろうと思いました。天使はこう続けました。「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、その支配は限りなく続くでしょう。」

そこでマリヤは天使に言いました。「どうして、そんな事があり得ましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」

天使が答えて言いました。「聖霊があなたに臨み、いと高き者の力があなたをおおうでしょう。それゆえに、生れ出る子は聖なるものであり、神の子と、となえられるでしょう。」

まるでそれだけではその日のすごい知らせとして十分ではなかったかのように、さらにこう付け加えました。「あなたの親族エリサベツも老年ながら子を宿しています。不妊の女といわれていたのに、はや六か月になっています。神には、なんでもできないことはありません。」

そこでマリヤは言いました。「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように。」 そして天使は彼女から離れて行きました。[4]

二人の返事を比較してみると面白いです。ザカリヤは主がその約束を果たすことができるとは思いませんでした。マリヤは、どうしてそんな事があり得るのかと質問こそしましたが、彼女のたずね方は、そのようなことは人間の力を超えていることを認めるものであり、主の力を疑うものではありませんでした。彼女が質問への答えを素直に受け入れたことからも、それがわかります。

私たちは皆、主の言葉を疑ったり、勘ぐったりしそうになるものです。聖書の中で多くの神の子どもたちがしたように。年老いていたサラとアブラハムに男の子が生まれると天使が告げた時、サラはそれを信ぜず、笑いさえしました。モーセもギデオンもエレミヤも皆、神に仕えるよう求められた時に言い訳をしました。エレミヤは、自分は若すぎると言いました。モーセは、自分には主のメッセージを伝えるだけの話力がないと確信していました。主は、そんなことはないのだと彼らを説得しなくてはいけませんでした。

主はザカリヤに対しては、より厳しく対処したと言えるでしょう。彼は長年祭司を務めてきたのだし、生涯ずっと神に仕えてきたので、物事を十分わきまえているはずだったからです。たいていの場合、主は疑いや恐れを克服できるよう、あらゆる手を尽くしてくださいます。その良い例が、羊飼たちに対する天使の現れ方です。

「さて、この地方で羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。すると主の御使が現れ、主の栄光が彼らをめぐり照したので、彼らは非常に恐れた。御使は言った、『恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。』」[5]

この羊飼たちはかなり頑固だったのでしょう。思いやり深い主はさらに証拠が必要な場合に備えて、しるしを与えられました。天使はこう言いました。「あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである。」[6]

それでも十分ではないかのように‥‥

「するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、『いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように。』」[7]

ここまでくれば、もう羊飼たちに証拠はいりませんでした。彼らは互いに「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」[8] と言ったのでした。

「そして急いで行って、マリヤとヨセフ、また飼葉おけに寝かしてある幼な子を捜しあてた。彼らに会った上で、この子について自分たちに告げ知らされた事を、人々に伝えた。人々はみな、羊飼たちが話してくれたことを聞いて、不思議に思った。」[9]

聖書には、イエスの幼い頃、天使が何度か現れたと記されています。博士たちに夢でヘロデのところに帰るなと告げたり、[10] ヨセフにエジプトへ逃げるよう告げたりしました。[11] その後、安全になってイスラエルに戻るべき時を告げました。[12]

この天使たちは警告や希望を告げるメッセンジャーであり、試練の時における慰めの源でもあります。私にとって天使は、クリスマスストーリーの中でも素晴らしく美しい役割を担っており、すべてがうまくいくと神に信頼することを思い起こさせてくれる存在でもあります。

私はラリー・リビーのこの言葉が好きです。「星がきらめく静かな夜に、天使たちが闇のベールを割いて現れました。まるでプレゼントを開けるためにキラキラ光る包装紙を割くように。そして決壊したダムの水のように、光と喜びが天からほとばしり出て、天使たちはイエスが生まれたというメッセージを叫び歌いました。救い主がついに生まれたのです! 天使の言葉通り、それは『良き知らせ』でした。」[13]


1 ルカ 1:12–14.

2 ルカ 1:18.

3 ルカ 1:20.

4 ルカ 1:28–38を参照.

5 ルカ 2:8–11.

6 ルカ 2:12.

7 ルカ 2:13–14.

8 ルカ 2:15.

9 ルカ 2:16–18.

10 マタイ 2:12を参照.

11 マタイ 2:13を参照.

12 マタイ 2:19を参照.

Copyright © 2024 The Family International